「子どもが突然、学校へ行けなくなった」「休ませた方がいいのか、それとも登校を促すべきなのか分からない」「勉強の遅れや出席日数、高校受験への影響が心配」子どもが不登校になると、保護者は原因、接し方、学習、進路を一度に考えなければならず、焦りや不安が強くなります。
しかし、初日からすべてを解決する必要はありません。最初に優先したいのは、子どもの安全と心身の状態を確認し、家庭と学校だけで抱え込まないことです。そのうえで、生活、学習、学校との接点を、子どもの状態に合わせて少しずつ整えます。この記事では、
・不登校の定義と現在の状況
・不登校になる主な原因と前兆
・学校へ行けなくなった直後の親の対応
・家庭で避けたい言葉や行動
・生活、ゲーム、勉強への具体的な対応
・出席扱い、受験、進路の考え方
・学校や専門機関へ相談する目安
などを、神戸・御影の個別教育教室Think+の代表 / 橋本加奈が解説します。
今回の記事の内容
不登校とは?文部科学省の定義と現在の状況

文部科学省の調査では、不登校児童生徒を「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため、年間30日以上欠席した者」のうち、病気や経済的理由による者を除いたものとして扱っています。
ただし、年間30日に達していなければ支援が不要という意味ではありません。欠席が増え始めた、朝になると体調が悪くなる、遅刻や早退が続く段階から、本人の負担を確認することが重要です。
令和6年度の文部科学省調査では、小・中学校の不登校児童生徒は約35万4千人で過去最多となりました。高等学校では約6万8千人です。不登校は珍しいことではなく、どの子にも起こり得る教育課題になっています。
不登校は病名ではなく、学校へ行けない状態を表す言葉です。背景は一人ひとり異なるため、「本人の性格」や「親の育て方」だけで説明することはできません。
不登校になる7つの主な原因

不登校の原因は一つとは限りません。本人も「なぜ行けないのか分からない」と話すことがあります。原因を無理に一つへ絞るより、負担が強くなる条件を整理してください。
1.友人関係やいじめ
仲間外れ、SNS上のトラブル、からかい、無視、部活動内の人間関係などが登校への不安につながることがあります。本人が「大したことではない」と話していても、毎日続く小さな出来事が大きな負担になっている場合があります。
いじめが疑われるときは、本人同士の話し合いだけで解決させず、日時、場所、内容、相手、スクリーンショットなどを記録し、学校へ共有します。
2.先生や学校環境とのミスマッチ
先生の強い叱責、教室の騒音、大人数での活動、校則、発表や給食など、学校環境の一部が強い負担になることがあります。「学校全部が嫌」と話していても、場所や時間を分けて聞くと、特定の場面が見えてくることがあります。
3.勉強の遅れや失敗への不安
授業についていけない、宿題が終わらない、テストの点数を見られたくないといった学習面の不安も原因になります。一度休むとさらに授業が分からなくなり、登校へのハードルが上がる悪循環も起こります。
4.心身の不調
朝の頭痛、腹痛、吐き気、めまい、強い疲労感、不眠などが見られる場合があります。心理的な負担が身体症状として表れることもありますが、身体疾患が隠れている可能性もあります。「気持ちの問題」と決めつけず、症状が続く場合は医療機関へ相談してください。
5.発達特性や感覚の負担
予定変更への対応、集団での指示、読み書き、音や光、人との距離感などに負担があり、学校生活で疲れ切ってしまう子もいます。診断の有無だけで判断せず、何が苦手で、どのような調整があれば参加しやすいかを具体的に考えます。
6.家庭環境や生活上の変化
転居、家族関係の変化、介護、保護者の病気、経済的不安など、家庭での変化が重なることもあります。家庭に原因があると断定するのではなく、子どもが安心して休める状態か、生活上の負担を家族以外へ分けられないかを確認します。
7.複数の要因が重なり、本人にも説明できない
最初のきっかけと、不登校が続いている理由が異なることがあります。友人関係をきっかけに休み、休んでいる間に昼夜逆転や学習の遅れが生じ、さらに戻りづらくなるという形です。
「なぜ行けないの?」を繰り返すより、
・何曜日が特につらいか
・教室、授業、休み時間のどこがつらいか
・誰と一緒だと負担が強いか
・別室や短時間ならどう感じるか
・家でなら何ができるか
を一つずつ確認する方が、支援策を考えやすくなります。
不登校になる前に見られやすいサイン

前兆は子どもによって異なります。次の変化が一つあるだけで不登校になるとは限りませんが、複数が続く場合は「怠け」と判断せず、学校で困っていることがないか確認してください。
・日曜の夜や平日の朝に腹痛、頭痛、吐き気が出る
・遅刻、早退、保健室の利用が増える
・制服への着替えや玄関で動けなくなる
・学校の話題を避ける、急に怒る、泣く
・睡眠、食欲、入浴などの生活習慣が変わる
・友達や先生からの連絡に強く反応する
・宿題や提出物を隠す
・「消えたい」「自分には価値がない」と話す
特に自傷行為や死にたいという発言がある場合は、登校の話より安全の確保を優先します。本人を一人にせず、医療機関や緊急の相談先へつないでください。
子どもが学校へ行けないときに親が最初にすること

最初にしてほしいことは、以下の通り。
当日|安全と体調を確認し、朝の説得を長引かせない
まず発熱、強い痛み、食事や水分、自傷や希死念慮の有無を確認します。緊急性がなければ、朝の玄関で長時間説得し続けるより、「今日は休んで、落ち着いてから一緒に考えよう」と区切ります。
保護者は学校へ欠席を連絡し、本人への直接連絡が負担になる場合は「まず保護者を通してほしい」と伝えて構いません。
最初の48時間|原因を問い詰めず、事実を記録する
すぐに理由を説明できない子もいます。睡眠時間、食事、身体症状、学校の話題への反応、本人ができている活動を簡単に記録します。原因を断定するためではなく、学校や専門家へ状況を正確に伝えるためです。
1週間以内|学校の相談窓口と連絡方法を決める
担任だけでなく、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー、校内教育支援センターの担当者など、相談しやすい窓口を確認します。毎朝「今日は来られますか」と連絡されることが負担なら、連絡頻度も調整します。
1か月を目安に|生活・学習・人との接点を一つずつ整える
最初から通常登校へ戻そうとせず、生活、学習、外出、学校との接点から、今できるものを一つ選びます。「昼食は同じ時間に取る」「10分だけ得意教科をする」「週1回、保護者が課題を受け取る」など、小さく始めます。
| 時期 | 優先すること | 具体例 |
| 当日 | 安全・体調の確認 | 食事、水分、痛み、自傷の有無を確認 |
| 48時間 | 休養と事実の整理 | 睡眠や症状を記録し、問い詰めない |
| 1週間 | 学校との連絡設計 | 窓口、頻度、本人への連絡方法を決める |
| 1か月 | 生活・学習の再接続 | できる行動を一つ始め、定期的に見直す |
これは期限ではありません。回復には個人差があります。予定どおり進まないことを本人の失敗とせず、方法と負荷を見直してください。
不登校の子どもに親がしてはいけない対応

親がしてはいけない対応は、以下の通り。
無理やり連れて行く
安全上の緊急性がないのに、身体を引っ張る、車へ押し込む、制服を無理に着せると、親子関係や学校への恐怖が強まる場合があります。登校を目標にする場合も、本人と相談し、短時間や別室など負荷を調整します。
「みんな行っている」「将来終わる」と脅す
比較や将来への脅しは、一時的に動かせても、本人の罪悪感や無力感を強める可能性があります。「今一番つらいのは何か」「どの方法なら学べるか」という現在の課題へ戻します。
すべての要求を受け入れる
本人の気持ちを受け止めることと、ゲーム、課金、買い物、暴言などをすべて認めることは違います。「つらい気持ちは聞く。ただし、課金は事前相談」のように、感情と家庭ルールを分けて伝えます。
親だけで抱え込み、相談を遅らせる
本人が相談を嫌がっても、保護者だけで相談を始められます。相談は「子どもを無理に学校へ戻すため」ではなく、家庭の負担を減らし、選択肢を増やすために利用します。
不登校は甘え・わがまま・ずるいのか、配慮と甘やかしをどう分けるかは、関連記事「不登校は甘え・わがまま・ずるい?誤解される理由と親の対応」で詳しく解説しています。
不登校中の生活リズム・ゲームへの対応

学校へ行けない期間に昼夜逆転やゲーム時間が増えることがあります。最初から学校と同じ時間割へ戻そうとすると、親子の衝突が増えます。
まず、起床、昼食、入浴、就寝のうち一つだけ固定します。朝起きられない場合でも、昼食は同じ時間に取る、夕方にカーテンを開けて5分歩くなど、実行しやすいものから始めます。
ゲームやスマートフォンは、本人にとって気分転換や友人との接点になっている場合があります。一方的に没収する前に、深夜利用、課金、食事や入浴への影響を確認し、「深夜はリビングで充電する」「課金は事前に相談する」など、問題が起きている部分へ限定したルールを話し合います。
不登校中の勉強はどうする?遅れを広げない5つの方法

遅れを広げない方法は、以下の通り。
1.教科ごとに現在地を確認する
「全部遅れている」と考えると手をつけにくくなります。数学は方程式、英語は単語、国語は漢字というように、分からなくなった場所を教科ごとに確認します。
2.得意教科か短時間から再開する
最初は10分、問題1問、教科書2ページでも構いません。勉強量より、終えられる量を設定し、「今日もできなかった」という感覚を減らします。
3.学校から課題と授業範囲を受け取る
本人が学校へ行けなくても、保護者が課題を受け取る、オンラインで範囲を共有してもらうなどの方法があります。提出期限や量が負担になる場合は、優先順位を学校へ確認します。
4.学校以外の学び方を利用する
教育支援センター、フリースクール、オンライン教材、家庭教師、個別指導などがあります。居場所を求めるのか、教科学習を補うのか、対人練習をしたいのかで選ぶ場所が変わります。
5.学習計画を定期的に見直す
体調や生活が変われば、取り組める量も変わります。1~2週間ごとに、できた量、負担、次の目標を見直してください。毎日長時間学ぶより、継続できる方法を優先します。
学校外の学習が出席扱いになることはある?

一定の要件を満たす場合、教育支援センターや民間施設、自宅でのICT学習などが、校長の判断によって指導要録上の出席扱いになることがあります。ただし、施設へ通えば自動的に認められる制度ではありません。
利用前に学校へ確認したいこと
・どの学習方法が対象になるか
・学習時間や内容をどう記録するか
・学校と支援先がどのように連携するか
・評価や定期テストをどう扱うか
・誰が最終的に判断するか
出席扱いだけを目的にせず、本人の負担、学習内容、人とのつながりを含めて選びます。地域や学校によって運用が異なるため、必ず在籍校へ相談してください。
小学生・中学生・高校生で異なる不登校への対応

年齢で異なる不登校への対応は、以下の通り。
小学生|生活と安心できる大人とのつながりを優先する
小学生は、困りごとを言葉にできない場合があります。遊びや絵、選択肢から選ぶ方法を使い、話したくないときは急がせません。保護者の留守中の安全や食事、学習をどうするかも早めに相談します。
中学生|学習の遅れと高校進学を早めに整理する
思春期は親の介入を嫌がることがあります。本人の許可を得られる範囲で、保護者が学校との連絡を担います。高校受験への不安が強くなる前に、内申、出欠、受験方法、通信制や定時制を含む選択肢を調べます。
高校生|単位・進級・転校の期限を確認する
高校では、欠席や履修状況が単位・進級へ直接影響する場合があります。担任や教務担当へ、各科目の欠課時数、補講、追試、休学、転校の手続きと期限を確認してください。通信制高校や定時制高校への転入・編入という選択肢もあります。
不登校でも高校受験や進学はできる

不登校だけで進路が決まるわけではありません。全日制、定時制、通信制、高等専修学校など、学び方の異なる進路があります。学校によって、調査書、当日の学力検査、面接、作文などの比重が異なります。
「欠席が多いから無理」と自己判断せず、在籍校と志望校へ最新の募集要項を確認してください。必要であれば、オープンスクールや個別相談を利用し、通学頻度、授業形式、支援体制、卒業条件を本人と一緒に確認します。
不登校の相談先と選び方
| 相談先 | 相談しやすい内容 | 確認すること |
| 学校・スクールカウンセラー | 学校での様子、配慮、別室、課題 | 本人への連絡方法と担当者 |
| 教育支援センター | 学校外の居場所、学習、相談 | 対象年齢、利用日、在籍校との連携 |
| 医療機関 | 身体症状、不眠、強い不安、気分の落ち込み | 受診科、紹介状、予約期間 |
| 児童相談所等 | 家庭内暴力、養育上の悩み、安全 | 緊急時の連絡方法 |
| フリースクール・民間支援 | 居場所、体験活動、学習 | 費用、支援内容、出席扱いの連携 |
| 個別指導・オンライン学習 | 学習の遅れ、受験、外出が難しい場合 | 本人の負担、授業量、講師との相性 |
相談先が合わないと感じた場合は、別の担当者や機関へ変えても構いません。本人が動けない時期は、保護者だけで状況を伝え、選択肢を集めることから始めます。
医療機関や緊急相談を検討したいサイン
不登校のすべてに医療が必要なわけではありません。ただし、次の状態がある場合は、登校や勉強の話より安全を優先してください。
・「死にたい」「消えたい」と話す、自傷行為がある
・食事や水分がほとんど取れない
・不眠や過眠が続き、日常生活が大きく崩れている
・激しい頭痛、腹痛、めまいなどが続く
・暴力や物を壊す行為があり、家族の安全を保てない
・幻聴、極端な混乱、現実との区別が難しい様子がある
・いじめや犯罪被害が疑われる
命の危険が迫っている場合は、本人を一人にせず、救急や警察を含む緊急の窓口を利用してください。自傷を責めたり、理由を問い詰めたりせず、「それほどつらい状態なのだ」と受け止め、専門家へつなぎます。
学校へ相談するときに伝える7項目
1.欠席、遅刻、早退が増えた時期
2.朝と夜の体調、睡眠、食事
3.本人が負担に感じる場所、授業、人間関係
4.家庭でできている活動
5.本人が希望する連絡方法
6.試せそうな登校方法や学習方法
7.次回の状況確認日
【相談文の例】
現在、朝になると強い不安と体調不良があり、通常どおりの登校が難しい状態です。本人を責めて登校させるのではなく、負担になっていることを整理したいと考えています。別室・短時間・放課後登校、課題の受け取り方について相談できますでしょうか。本人への直接連絡は負担が大きいため、まずは保護者を通してください。○月○日ごろに状況を再確認する機会をお願いします。
「様子を見ます」だけで終わらず、誰が、何を、いつ確認するかまで決めます。方法が合わなければ、本人の失敗ではなく支援方法の見直しです。
Think+が大切にしている不登校支援
Think+では、「すぐに学校へ戻ること」だけをゴールにしません。まず本人の状態と希望を確認し、生活、学習の遅れ、対人不安、進路など、今困っていることを一つずつ整理します。
・一人ひとりの理解度に合わせた個別学習
・少人数で安心して学べる環境
・英語学習、受験対策、オンライン指導
・メンタル面への配慮と心理カウンセリング
・保護者との相談と今後の学び方の整理
教室へ通うことが難しい場合は、オンラインから始める方法もあります。「学校へ行くか、行かないか」の二択ではなく、今できる学びを残し、本人の選択肢を増やすことを大切にしています。
不登校に関するよくある質問
不登校に関するよくある質問は、以下の通り。
Q.不登校は親の育て方が原因ですか?
親の育て方だけで不登校になるとは言えません。学校環境、人間関係、学習、心身の状態、発達特性、家庭での変化などが複数重なる場合があります。親を責めるより、現在の負担と利用できる支援を整理する方が解決につながります。
Q.学校は休ませた方がいいですか?
強い心身症状や安全上の問題がある場合は休養を優先します。ただし、長期的な方針は本人の状態によって異なります。休む場合も、生活、学習、学校との接点をいつ、どのように見直すかを学校や支援者と相談してください。
Q.不登校はどれくらいで回復しますか?
一律の期間はありません。短期間で戻る子もいれば、学校以外の学び方へ移る子もいます。登校日数だけで回復を判断せず、睡眠、食事、会話、外出、学習、人とのつながりがどう変化しているかを見ます。
Q.ゲームができるなら学校へ行けるのでは?
ゲームと学校では必要なエネルギーや対人負荷が異なるため、ゲームができることだけで登校可能とは判断できません。ただし、昼夜逆転や課金などの問題は別に考え、本人とルールを相談します。
Q.不登校でも将来働けますか?
不登校の経験だけで将来が決まるわけではありません。進学、資格取得、就職など複数の道があります。大切なのは、学校へ戻ることだけを急ぐのではなく、本人が学習、人との関係、生活を続けられる方法を見つけることです。
まとめ
不登校は、単なる怠けや甘えではなく、子どもが現在の学校生活に対応しにくくなっている状態です。原因を急いで一つに決めるより、安全を確保し、負担が強くなる条件を具体的に確認してください。
・最初は安全と心身の状態を確認する
・原因を問い詰めず、負担が強まる場面を整理する
・家庭と学校だけで抱えず、相談先を確保する
・生活、学習、学校との接点を一つずつ整える
・出席扱いや進路は早めに学校へ確認する
・登校だけを唯一のゴールにせず、将来の選択肢を増やす
保護者がすべてを正しく判断し続ける必要はありません。本人と家族だけで抱え込まず、学校、教育支援センター、医療機関、学習支援などを使いながら、その子に合う一歩を一緒に探してください。
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